自閉スペクトラム症(ASD)
横浜市都筑区中川の小児神経専門医が、診断から療育・支援の手続きまでご一緒します
最終更新:2026年9月25日

自閉スペクトラム症とは
自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder:ASD)は、生まれつきの脳の発達のしかたのちがいによるもので、育て方やしつけが原因ではありません。
「スペクトラム(連続体)」という名前のとおり、特性の出かたは一人ひとり大きく異なります。同じ診断名でも、必要な支援はお子さんごとに違います。

1 人との関わり
ずっとひとりで遊んでいる、目線が合いにくい、指さしをしない
2 くり返し・こだわり
積み木やミニカーをずっと並べている、決まった服しか着ない
3 感覚のちがい
服のタグを嫌がる、うるさい場所で耳をふさぐ、痛みに気づきにくい
4 ことば・理解
ことばの遅れがある、皮肉がわからない、思ったことをそのまま口に出す
5 興味のかたより
「○○博士」と呼ばれるほど特定の分野にくわしい、他の人に関心が向きにくい
特性の強さは人それぞれです
特性が比較的おだやかなお子さんでは、3歳児健診のころにはまだはっきりせず、時間をかけて様子を確かめていくことも多くあります。
どのくらいのお子さんにみられるのか
弘前大学が5歳児健診をもとに行った調査(2020年)では、ASDのお子さんは約3.2%と報告されています。30人のクラスに1人ほどという計算になり、けっして珍しいものではありません。
同じ調査では、ASDのお子さんの88.5%に、ほかの発達の特性が重なっていたことも報告されています。
| 注意欠如・多動症(ADHD) | 50.6% |
|---|---|
| 発達性協調運動症(不器用さ) | 63.2% |
| 知的発達症 | 36.8% |
| 境界知能 | 20.7% |
重なりを一緒に診ることが大切です
不器用さや落ち着きのなさ、眠りにくさなど、ASD以外の困りごとが日常の負担になっていることも少なくありません。当院では、重なっている部分も含めて全体を見るようにしています。
こんなことが気になったら

- 1歳半ごろ … 指さしをしない、名前を呼んでも振り向かない、ことばが出ない
- 3歳ごろ … ことばのやりとりが続かない、ごっこ遊びをしない、集団に入りにくい
- 就園後 … お友だちとのトラブルが多い、行事や変更が苦手、偏食が強い
- 就学後 … 授業についていけない、忘れ物が多い、登校をしぶる
- 健診や園・学校から、発達について相談をすすめられた
「様子を見ましょう」と言われたあとでも
健診で経過観察となったあと、ご家庭での困りごとが増えることもあります。診断がつくかどうかに関わらず、いま困っていることをどう減らすかを一緒に考えられます。気になった時点でご相談ください。
診断のしかた
発達の診断は、血液検査や画像検査の数値だけで決まるものではありません。生活のなかでどのような特性があり、どのくらい困っているかを、丁寧にうかがって判断します(症状診断)。
1. くわしくお話をうかがいます
妊娠・出産のころのこと、ことばや運動の育ち、園や学校での様子、ご家庭での困りごとをうかがいます。母子健康手帳や、園・学校からのおたよりがあればお持ちください。
2. 発達検査・心理検査
必要に応じて、発達検査や知能検査(新版K式発達検査、WISCなど)、ASDの評価に用いられるM-CHAT、PARS-TRといった検査を行います。発達障害のお子さんでは得意なことと苦手なことの差が大きいことがわかっており、その差を確かめることが、ご本人に合った関わり方を考えるうえで役に立ちます。
3. 診断の基準に照らして考えます
国際的な診断基準(DSM-5-TR)では、①人との関わりとコミュニケーションの持続的な難しさ、②こだわりや反復的な行動・限定された興味・感覚のちがい、③発達の早い時期からみられること、④生活に支障が出ていること、などが挙げられています。
すぐに診断名がつかないこともあります
年齢が小さいほど、判断がむずかしいことがあります。その場合は、無理に結論を急がず、時間をおいて成長を確かめていきます。
当院でできること
専門医の診察
日本小児神経学会専門医が、木曜午前の小児神経外来で時間をとって診察します
発達検査・心理検査
臨床心理士が在籍しています。検査の結果は、ご家庭や園・学校での関わり方に結びつけてご説明します
診断書の作成
療育に必要な受給者証、精神障害者保健福祉手帳、特別児童扶養手当などの診断書を作成します
困りごとへの治療
強い癇癪や眠りにくさなどがある場合、お薬を使うことがあります。必要性はご家族と相談して決めます
療育・専門機関との連携
地域療育センターや、より専門的な医療機関へのご紹介もいたします
診断のあとの支援

いちばん大切なのは、ご本人と周りの人が特性を理解し、暮らしのなかの困りごとを減らしていくこと(環境調整)です。
療育(児童発達支援・放課後等デイサービス)
未就学のお子さんでは、着替えや片づけといった日常の動作、集団での過ごし方、ことばの練習などを行う「療育」が役に立ちます。
利用するには、お住まいの区が発行する受給者証が必要です。申請には医師の診断書や意見書が求められることが多く、当院で作成できます。都筑区の場合は、区役所のこども家庭支援課が窓口です。
お薬について
ASDそのものを治すお薬はありませんが、強い興奮や癇癪、眠りにくさなど、生活に支障が出ている症状をやわらげる目的でお薬を使うことがあります。使う・使わないは、ご家族とよく相談したうえで決めます。
都筑区にお住まいの方の相談先
横浜市北部地域療育センター(都筑区葛が谷16-3/電話 045-942-3451)が、緑区・都筑区にお住まいの0歳から小学校期までのお子さんを担当しています。相談は直接お電話で申し込めます。
このほか、都筑区福祉保健センターでも、健診や子育ての相談を受け付けています。
よくあるご質問
何歳から相談できますか
年齢の制限はありませんが、当院の混雑状況から就学児以降のお子さんの受診をお願いしています。
診断がついたら、園や学校に伝えないといけませんか
伝えるかどうかはご家族が決めることです。伝える場合も、どこまでどのように伝えるかを一緒に考えます。
検査はどのくらい時間がかかりますか
検査の種類によりますが、1時間前後かかるものもあります。診察とは別の日にお取りいただくので、ご予約時にご相談ください。
診断がつかないと、療育は受けられませんか
診断名がつかない場合でも、支援が必要と判断されれば、意見書などで受給者証の申請ができることがあります。まずはご相談ください。
薬を使わないという選択もできますか
できます。お薬は選択肢のひとつで、使わずに環境の工夫だけで進めるご家庭も多くあります。
関連するページ
ご予約はこちらから(小児神経外来の新規患者さんのご予約は一旦休止しています)
参考:弘前大学「5歳における自閉スペクトラム症の有病率は推定3%以上」(2020年)/横浜市「地域療育センターについて」









