熱性けいれん|横浜市都筑区ハリーこどもクリニック
お子さんが突然けいれんを起こすと、とても心配になりますよね。
熱性けいれんは乳幼児の約7〜8%が経験する
最も多い、けいれん性疾患です。
多くは良性の経過をたどり、成長とともに起こさなくなります。
まずは落ち着いて対処しましょう。

すぐに救急車(119番)を呼ぶべき場合
- けいれんが5分以上続く
- けいれんが止まっても意識が戻らない
- 24時間以内にけいれんを繰り返す
- 呼吸が苦しそう、顔色が悪い
- 初めてのけいれんで様子がおかしい
- 生後6か月未満のけいれん
迷ったら救急車を呼んでください。お子さんの安全が最優先です。
熱性けいれんとは
熱性けいれんは、生後6か月から6歳までの乳幼児が発熱に伴って起こすけいれんです。乳幼児期に最も多く見られるけいれん性疾患で、日本の子どもの約7〜8%(約12〜14人に1人)が経験すると言われています。
欧米では約3〜5%とされており、日本を含むアジアの子どもに多い傾向があります。
保護者の方へ
初めてお子さんのけいれんを目の当たりにすると、「死んでしまうのでは」「脳に障害が残るのでは」と不安になる方がほとんどです。
ご安心ください。単純型熱性けいれんで命に関わることは極めて稀であり、脳に後遺症を残すこともありません。知的発達や学習能力にも影響しないことがわかっています。
症状と見分け方
典型的な熱性けいれんの症状
発熱
38℃以上の発熱に伴って起こります。熱の上がり始めに起こることが多いです。
けいれん
全身の筋肉が硬直し(強直)、その後ガクガクと震えます(間代)。左右対称に起こります。
意識消失
呼びかけに反応しなくなります。白目をむいたり、目が一点を見つめたりします。
けいれん後
ぐったりして眠ることが多いです。数分〜数時間で普段通りに回復します。
⚠️ 緊急受診が必要な症状
- けいれんが15分以上続く
- 24時間以内にけいれんを繰り返す
- 体の片側だけのけいれん(部分発作)
- けいれん後の意識回復が悪い
- 発熱がないのにけいれんが起きた
- 生後6か月未満または6歳以上での発症
単純型と複雑型の違い
熱性けいれんは「単純型」と「複雑型」に分類されます。この分類によって、その後の経過観察や検査の必要性が変わってきます。
単純型熱性けいれん
特徴(すべてを満たす)
- 15分未満で自然に止まる
- 全身性のけいれん(左右対称)
- 24時間以内に繰り返さない
予後
- てんかんへの移行:約2〜3%
- 知的発達に影響なし
- 良性の経過をたどる
複雑型熱性けいれん
特徴(いずれかを満たす)
- 15分以上持続する
- 部分発作の要素がある(片側だけなど)
- 24時間以内に再発する
対応
- てんかんへの移行率がやや高い
- 脳波検査での確認を推奨
- 定期的な経過観察が必要
けいれん時の対処法
最も大切なのは、保護者の方が落ち着くことです。けいれんの多くは数分で自然に止まります。以下の手順で対応してください。
✅ すべきこと
- 時間を測るスマホのストップウォッチで開始時刻を記録。5分以上続く場合は救急車を呼びます。
- 安全な場所に寝かせる落下や衝突の危険がない場所に移動させます。
- 顔を横向きにする嘔吐物で窒息しないよう、顔を横に向けます。
- 衣服をゆるめる首元のボタンやベルトをゆるめ、呼吸しやすくします。
- 様子を観察・記録する可能であれば動画を撮影してください。診断に非常に役立ちます。
❌ してはいけないこと
- 口の中に物を入れる舌を噛み切ることはありません。指や箸を入れると怪我の原因になります。
- 体を強く押さえつける骨折や怪我の原因になります。けいれんは止まりません。
- 体を揺さぶるけいれんを悪化させる可能性があります。
- 水をかけたり冷やしすぎる急激な体温変化は避けてください。
- 口から薬を飲ませる意識がない状態では窒息の危険があります。
⏱️ 5分ルール
けいれんが5分以上続く場合は、迷わず119番してください。
5分以内に止まった場合も、初回のけいれんであれば医療機関を受診しましょう。
動画撮影のコツ
けいれんの様子を動画で撮影していただくと、診断に非常に役立ちます。余裕があれば、以下のポイントを意識して撮影してください。
全身が映るように
手足の動き、左右差を確認するために全身を撮影してください。
顔・目の様子
目の向き、表情の変化も重要な情報です。
けいれん終了後も
けいれんが止まった後の意識状態の回復過程も撮影できると理想的です。
※ 撮影は余裕がある場合のみで構いません。お子さんの安全確保が最優先です。撮影できなくても、けいれんの様子(持続時間、左右差の有無など)を覚えておいてください。
ダイアップ座薬について
ダイアップ座薬(ジアゼパム座薬)は、熱性けいれんの予防に使用される薬です。すべてのお子さんに必要なわけではなく、複雑型熱性けいれんや繰り返す場合に医師の判断で処方されます。
使用方法
37.5℃以上で1回目
発熱に気づいたら、できるだけ早く挿入します。
8時間後に2回目
熱が続いている場合、8時間後にもう1回使用します。
1回の発熱で最大2回まで
3回目以降は使用しません。
副作用について
- 眠気・ふらつき:最も多い副作用です。転倒に注意してください。
- 興奮作用:まれに興奮状態になることがあります。
副作用は一時的なものです。気になる症状があれば医師にご相談ください。
解熱剤との関係
解熱剤が熱性けいれんを予防するという科学的根拠はありません。解熱剤はお子さんの不快感を和らげるために使用するもので、けいれん予防目的での使用は推奨されていません。
予後・再発について
再発率
約30〜40%のお子さんで再発しますが、多くは2〜3回までです。
再発しやすい条件:1歳未満での初発、家族歴がある、低い体温での発症
発達への影響
単純型熱性けいれんでは、知的発達・学習能力に影響はありません。
長年の研究で、発達への悪影響がないことが確認されています。
てんかんへの移行
単純型:約2〜3%(一般人口の約1%と比べやや高い程度)
複雑型ではやや高くなるため、経過観察が重要です。
終息時期
多くのお子さんは6歳頃までには熱性けいれんを起こさなくなります。
脳の成熟とともに、発熱でけいれんを起こしにくくなります。
よくある質問
Q. 熱性けいれんで死亡することはありますか?
単純型熱性けいれんで死亡することは極めて稀です。けいれん自体で命に関わることはほとんどありません。ただし、けいれん中の窒息や転落事故を防ぐために、安全な場所で横向きに寝かせることが大切です。
Q. 熱性けいれんは遺伝しますか?
家族歴がある場合、熱性けいれんを起こしやすい傾向があります。両親のどちらかが熱性けいれんの経験がある場合、お子さんの発症率は約20〜30%とされています。ただし、遺伝するからといって必ず発症するわけではありません。
Q. 熱性けいれん後、予防接種は受けられますか?
基本的に受けられます。一般的には、熱性けいれん後2〜3か月経過してからの接種が推奨されています。予防接種の種類やお子さんの状態によって異なりますので、医師にご相談ください。
Q. 保育園・幼稚園に通えますか?
もちろん通えます。熱性けいれんの既往があることを園に伝え、発熱時の対応について事前に相談しておくと安心です。ダイアップ座薬を処方されている場合は、園での使用について医師の指示書を用意しましょう。
Q. 熱性けいれんとてんかんの違いは何ですか?
熱性けいれんは「発熱に伴って」起こるけいれんで、てんかんは「発熱がなくても」繰り返し起こるけいれん発作です。熱性けいれんからてんかんに移行するのは単純型で約2〜3%と低率です。複雑型の場合は移行率がやや高くなるため、経過観察が重要です。
Q. 脳波検査は必要ですか?
単純型熱性けいれんでは、通常は脳波検査は必要ありません。複雑型熱性けいれんの場合や、てんかんへの移行が疑われる場合に脳波検査を行うことがあります。当院では脳波検査を実施しておりますので、必要に応じて検査いたします。
ハリーこどもクリニックでの診療
当院では、日本小児神経学会専門医・日本てんかん学会専門医が熱性けいれんの診療を行っています。
小児神経専門医による診療
けいれんの種類を正確に診断し、必要に応じて適切な検査・治療を行います。
脳波検査
複雑型熱性けいれんやてんかんが疑われる場合、院内で脳波検査を実施できます。
丁寧な説明
けいれん時の対処法、予防法、今後の見通しについて、わかりやすくご説明します。
継続的なフォローアップ
お子さんの成長に合わせて、定期的な経過観察を行います。
お電話でのご予約・ご相談:045-913-0501
監修:ハリーこどもクリニック 院長 伊藤正範
日本小児科学会専門医 / 日本小児神経学会専門医 / 日本てんかん学会専門医
本ページは熱性けいれん診療ガイドライン2015(日本小児神経学会)に準拠しています。











