小児の臍処置・圧迫療法
臍ヘルニア(でべそ)の圧迫療法
「でべそ」として知られる臍ヘルニアは、生後まもない赤ちゃんにとてもよくみられる、ありふれた状態です。その多くは成長とともに自然に治っていきますが、適切な時期に圧迫療法を行うことで、より早く、よりきれいに治る可能性が高まります。当院では、専用の圧迫材を用いた安全な圧迫療法を行っています。

臍ヘルニア(でべそ)とは
臍ヘルニアは、へその緒(臍帯)が取れたあと、おへその奥にある筋肉の壁の隙間(臍輪)がうまく閉じないために、その隙間から腸などが皮膚を内側から押し上げて、おへそがふくらむ状態です。
泣いたり、いきんだりするとおへそが大きく飛び出し、指でそっと押すと「ポコッ」とお腹のなかに戻るのが特徴です。痛みを伴うことはほとんどなく、赤ちゃんが嫌がることも通常ありません。

こんな赤ちゃんに多くみられます
低出生体重児や早産で生まれた赤ちゃんでは、臍輪が閉じるのに時間がかかり、臍ヘルニアが起こりやすい傾向があります。とくに珍しいものではなく、多くのご家庭が経験する状態です。
起こる理由と、自然経過
赤ちゃんのお腹の壁の筋肉は、生まれたあとも発達を続けます。多くの臍ヘルニアは、この筋肉の発達とともに 1〜2歳ごろまでに自然に閉じて いきます。生後1年でかなりの割合が、2歳までには大半が自然に治るとされています。
ただし、おへそが飛び出した状態が長く続くと、伸びてしまった皮膚が「あまり皮(余剰皮膚)」として残り、臍輪が閉じたあとも見た目が気になる「でべそ」として残ることがあります。
つまり、「いずれ治る」ことと「きれいに治る」ことは別の問題です。早めの圧迫療法は、この余剰皮膚を減らし、仕上がりをよくすることにつながります。
圧迫療法とは ― なぜ早めが大切か
圧迫療法は、おへそのふくらみをスポンジなどの圧迫材で内側に押し込み、専用のテープで固定して、臍輪が閉じるのを助ける治療です。
近年の報告では、自然に治るのを待つよりも、早い時期(できれば生後2〜3か月ごろまで)に圧迫療法を始めた方が、治るまでの期間が短く、皮膚のたるみも少なく、きれいに治る傾向があることが示されています。臍輪がまだやわらかく、おへそも小さいうちの方が、よい結果につながりやすいためです。

気になる「でべそ」を見つけたら、できるだけ早めにご相談ください。開始が遅れても改善は期待できますが、早いほど選択肢が広がります。
当院での治療方針と使用製品
当院では、市販のテープを自己流で貼る方法ではなく、医療機関向けに設計された専用の圧迫材 ニチバン株式会社「臍圧迫療法パック」 を用いて、医師の管理のもとで圧迫療法を行います。適度な圧迫でおへそを保護し、臍ヘルニアの改善を促します。

- 皮膚にやさしい医療用テープ
赤ちゃんの肌に配慮した、かぶれにくい医療用粘着テープを使用します。 - 適度な圧迫力で保護
専用設計により、おへそを適切な力でやさしく圧迫します。 - 防水性で入浴時も安心
防水性があり、入浴の際もそのままお使いいただけます。 - 皮膚の状態を見ながら
かぶれやすいお子さんには貼り方や交換のタイミングを調整します。
圧迫材の使用方法(ニチバン株式会社 YouTube より)
治療の流れ
初回診察・評価
おへその状態(ふくらみの大きさ、臍輪の隙間)を確認し、圧迫療法が適しているかを判断します。気になる点は何でもご相談ください。
圧迫の開始
圧迫材でおへそを押し込み、専用テープで固定します。ご家庭での扱い方や注意点もあわせてご説明します。
定期的な張り替え・経過観察
圧迫材はおおむね1週間ごとに張り替えます。ご自宅で張り替えていただくことも、その都度ご来院いただくことも可能です。皮膚の状態とおへそのへこみ具合を確認しながら進めます。
治療効果の評価
おおむね3〜6か月を目安に効果を判定します。臍輪が閉じ、おへそがへこんだ状態を確認できたら治療終了です。改善がみられない場合などは、専門医への紹介も検討します。
ご家庭でのケアと注意点
- かぶれ・赤みが出たら
テープ周囲の皮膚が赤くなったり、ただれてきた場合は、無理に続けず、次回受診時にご相談ください。ひどい場合は一度はがして受診をおすすめします。 - 入浴のとき
固定の扱い方は診察時にご説明します。はがれやすくなったら、無理にそのままにせず交換のタイミングを調整します。 - テープがはがれたとき
自己判断で市販の絆創膏などを重ね貼りすると、かぶれや不十分な圧迫の原因になります。早めにご相談ください。
こんなときは、すぐに受診を
臍ヘルニアは通常、緊急性の高い病気ではありません。ただし、ごくまれに、飛び出した腸が戻らなくなる「嵌頓(かんとん)」という状態が起こることがあります。次のような場合は、すぐに医療機関を受診してください。
- おへそのふくらみが硬くなり、押してもお腹のなかに戻らない
- ふくらみが赤紫色・黒っぽく変色している
- 触れると激しく泣く、嘔吐をくり返す、ぐったりしている
臍ヘルニアの嵌頓は、鼠径ヘルニアに比べると非常にまれですが、知っておくと安心です。判断に迷うときは、いつでもご相談ください。
よくあるご質問
でべそは、自然に治りますか?
多くは1〜2歳ごろまでに自然に治ります。ただし、大きいものや長引くものは、臍輪が閉じても皮膚のたるみが「でべそ」として残ることがあります。見た目をきれいに整えたい場合は、早めの圧迫療法が有効です。
圧迫療法は、いつから始めるとよいですか?
早いほど効果が期待でき、生後2〜3か月ごろまでの開始が理想的とされています。とはいえ、それ以降でも改善は期待できますので、気づいた時点でご相談ください。
痛みはありますか?赤ちゃんは嫌がりませんか?
臍ヘルニア自体に強い痛みはなく、圧迫療法も基本的に痛みを伴いません。ただしテープによる皮膚のかぶれには注意が必要なため、肌の状態を見ながら進めます。
昔ながらの「絆創膏でおへそを押さえる」方法でもよいですか?
自己流の圧迫は、かぶれや皮膚トラブル、圧迫が不十分になる原因になります。臍ヘルニア専用の圧迫材を用い、医師の管理のもとで行うことをおすすめします。
治療にはどのくらいの期間がかかりますか?
おへその大きさや開始時期によって異なりますが、効果の判定にはおおむね3〜6か月をみていきます。経過を見ながら、終了の時期を一緒に判断していきます。
「でべそが気になる」と思ったら、まずはご相談ください
圧迫療法は、早く始めるほど選択肢が広がります。少しでも気になることがあれば、お気軽にお問い合わせください。
ご予約方法
Web予約から 「一般外来」 をご予約いただき、フリーコメント欄に 「臍ヘルニア相談希望」 とご記入ください。診察でおへその状態を確認し、治療のスケジュールをご相談します。














