
夜尿症(おねしょ)
5歳を過ぎても続くおねしょは、治療で治るまでの期間を短くできます。
生活のコツから、お薬・アラーム療法まで、ご説明します
最終更新:2026年10月14日
お子さんのおねしょで、お悩みの方へ
夜尿症とは
5歳を過ぎても、月1回以上のおねしょが3か月以上続く状態です
めずらしくありません
小学1年生の約10人に1人
1クラスに3〜4人ほどいる計算です
だれのせいでもありません
体の成長の個人差によるもので、お子さんの性格や、育て方のせいではありません
ハリー先生と学ぶ、おねしょのこと




夜尿症とは・どのくらいいるの?
5歳より前のおねしょは、成長の途中でよくあることです。
5歳を過ぎても、月1回以上のおねしょが3か月以上続く場合を「夜尿症」といい、治療の対象になります。
年齢とともに少しずつ減っていきますが、小学校高学年になっても続くお子さんもいます。

| 年齢 | 夜尿症のあるお子さん |
|---|---|
| 5歳ごろ | 約15%(6〜7人に1人) |
| 小学1〜2年生 | 約10%(10人に1人) |
| 小学5〜6年生 | 約5%(20人に1人) |
| 15歳以上 | 約1〜2% |
おねしょが起こるしくみ
眠っている間は、脳から「抗利尿(こうりにょう)ホルモン」が多く出て、夜につくられる尿の量が少なくなります。
夜尿症のお子さんでは、次の3つが重なって、ぼうこうから尿があふれてしまいます。
💧 夜の尿が多い
眠っている間に抗利尿ホルモンが十分に出ず、夜につくられる尿の量が多くなります。
🎈 ぼうこうにためられる量が少ない
ぼうこうの大きさや働きには個人差があり、夜の間の尿をためきれないことがあります。
😴 尿意で目が覚めにくい
ぼうこうがいっぱいになっても、眠りが深くて目を覚ますことができません。
ご両親が子どものころに夜尿症だった場合、お子さんもなりやすいことがわかっています(体質が関係します)。
早めに相談してほしいとき
⚠️ こんなときは、ほかの病気が隠れていないか確かめます
- 昼間もおもらしをする、トイレが近い、急にがまんできなくなる
- 半年以上おねしょがなかったのに、また始まった
- のどがよく渇いて、水をたくさん飲む・尿の量が多い
- 大きないびきをかく、眠っている間に呼吸が止まる
- 便秘がある、下着に便がつく
- おしっこのときに痛がる、熱が出る
昼間の症状がないおねしょ(いちばん多いタイプ)でも、小学校に入ってもおねしょが続くときや、本人が気にしているときは、お気軽にご相談ください。
おうちでできる7つのコツ
生活のコツは、すべての治療の土台です。お薬やアラームで治療をするときも、続けていきます。

① 規則正しい生活をする
早寝・早起き、決まった時間の食事を心がけましょう。夕食は少し控えめにして早めにとり、夕食から寝るまでは、できれば2〜3時間あけましょう。

② 水分のとり方に気をつける
水分は朝食と昼食でしっかりとり、昼食のあとからは控えめにします。夕食後から寝るまでは、コップ1杯(200mL)ほどにとどめましょう。

③ 塩分を控える
塩分をとりすぎると、のどが渇いて水分が増え、おねしょにつながります。みそ汁や梅干しなど、塩分の多いものは夕食で控えめに。

④ 便秘に気をつける
便秘があると、腸がぼうこうを押して、おねしょが増えることがあります。野菜など食物繊維の多い食事を心がけましょう。

⑤ 寝る前にトイレに行く
トイレに行ってから寝る習慣をつけましょう。布団に入って30分〜1時間たっても眠れないときは、もう一度トイレへ。

⑥ 体を冷やさない
冷えると尿が増え、ぼうこうも縮みやすくなります。とくに冬は、下着を重ねたり靴下をはいたりして、温かくして寝ましょう。

⑦ 夜中に無理に起こさない
夜中に起こしてトイレに行かせても、治療の効果はありません。宿泊行事のときなどに、一時的に起こすのは構いません。
🌟 全部を完璧にしなくて大丈夫です
できることから、少しずつ始めましょう。続けることがいちばん大切です。
治療の方法
生活のコツを続けても良くならないときは、お薬(抗利尿ホルモン薬)かアラーム療法を始めます。日本の「夜尿症診療ガイドライン」でも、この2つが最初に選ぶ治療とされています。
お子さんの夜の尿の量や、ぼうこうにためられる量、ご家族の生活に合わせて、一緒に選びます。
💊 抗利尿ホルモン薬(デスモプレシン)
夜につくられる尿の量を減らすお薬です。夜の尿が多いタイプのお子さんに効きやすいお薬です。
- 1日1回、寝る前に飲みます(舌の上で溶かして、水なしで飲む錠剤)
- 飲む2〜3時間前(夕食後)から翌朝までは、水分をできるだけ控えます
- 原則として6歳以上のお子さんに使います
🔔 アラーム療法
下着につけたセンサーが、おねしょでぬれるとアラームで知らせる機械を使います。くり返すうちに、尿意で目が覚めたり、朝までためられたりするようになります。
- 毎晩使います。アラームで起きないときは、ご家族が起こしてあげてください
- 効果が出るまで1〜2か月ほどかかることがあります
- 治ったあとに、再びおねしょが始まることが少ない治療です
- 機械は保険がきかないため、ご家庭で購入やレンタルをしていただきます
🧪 抗コリン薬
ぼうこうの筋肉をゆるめて、尿をためられる量を増やすお薬です。
- 昼間の症状がある場合や、ぼうこうにためられる量が少ない場合に使います
- 抗利尿ホルモン薬と組み合わせることが多いお薬です
- 便秘や口の渇きが出ることがあります
このほか、お子さんの体質に合わせて漢方薬を使うこともあります。
💧 抗利尿ホルモン薬を飲んでいる間の注意
お薬で尿が減っている間に水分をとりすぎると、体に水がたまりすぎる「水中毒(低ナトリウム血症)」を起こすことがあります。夜の水分を控える約束を、必ず守ってください。
熱がある、吐いている、下痢をしているなど、水分をとる必要があるときは、お薬をお休みしてください。
飲んだあとに、頭痛・吐き気・だるさが出たときは、お薬をやめて、当院にご連絡ください。
治療の効果
夜尿症は、治療をしなくても1年に約15%ずつ自然に治っていくといわれています。けれども、治療をした方が、早く治るお子さんが多いことがわかっています。

| 治るまでの期間 | 治療した子 | 治療しなかった子 |
|---|---|---|
| 6か月後 | 約25% | 約8% |
| 1年後 | 約50% | 約15% |
| 2年後 | 約70% | 約25% |
治療を始めたら、1〜2か月ごとに受診していただき、効果を見ながらお薬の量や治療法を調整します。おねしょのない状態が続いたら、お薬は少しずつ減らしてやめていきます。
お泊まり・宿泊行事のとき
📆 できれば数か月前にご相談を
治療の効果が出るまでには時間がかかることがあります。林間学校や修学旅行などの予定がわかったら、早めにご相談ください。
🏫 先生への伝え方
夜中に一度起こしてもらう、着替えをそっと用意してもらうなど、周りに気づかれにくい方法を、先生と相談しておきましょう。
🎒 持ち物の工夫
夜用の紙パンツや吸水パッド、着替え、ビニール袋などを用意しておくと、本人も安心して参加できます。
受診の流れ・持ち物
ステップ1
ご予約
WEB予約で一般外来をお取りいただき、フリーコメントに「夜尿症相談希望」とお書きください。受診までに、夜尿症専用の問診票にご回答ください。
ステップ2
初めての受診
おねしょの様子をくわしくうかがい、診察と尿検査を行います。必要に応じて、血液検査などを行います。
ステップ3
治療を始める
生活のコツと、お子さんに合った治療法をご提案します。すでに生活のコツに取り組まれている場合は、最初からお薬などを始めることもあります。
ステップ4
定期的な受診
1〜2か月ごとに効果を確かめ、治療を調整します。おねしょのない状態が続いたら、少しずつ治療を終えていきます。
受診の日にお持ちください
- おねしょの記録(あった日・なかった日)
- 母子健康手帳
- お薬手帳(飲んでいるお薬がある場合)
- ほかの病院での検査結果(ある場合)
記録しておくと役立つこと
- 寝る前に飲んだ水分の量
- 寝た時刻・起きた時刻
- 朝の紙パンツの重さ(夜の尿の量がわかります)
- 便の出かた(便秘がないか)
ご家族へのお願い
🙅 叱らない
おねしょは、本人の努力ではどうにもならないことです。叱ると自信をなくし、かえって治りにくくなることがあります。
👏 できた日はほめる
おねしょをしなかった朝は、たくさんほめてあげてください。カレンダーにシールを貼るのも励みになります。
👪 比べない
きょうだいやお友だちと比べないでください。治るまでの早さは、一人ひとり違います。
当院の夜尿症診療
小児科の専門医が担当
日本小児科学会の専門医・指導医で、日本小児神経学会の専門医でもある院長が、診断から治療まで担当します。
おねしょ卒業!プロジェクト
当院は、夜尿症の正しい知識と治療を広める「おねしょ卒業!プロジェクト」に参加しています。
学校生活のご相談
宿泊行事への参加や、学校への伝え方など、お子さんの生活に合わせてご相談に応じます。
よくあるご質問
Q. 何歳から治療を始めればいいですか?
Q. 治療しなくても、自然に治りますか?
Q. 夜中に起こして、トイレに行かせたほうがいいですか?
Q. 紙パンツ(おむつ)は、やめたほうがいいですか?
Q. お薬は、ずっと飲み続けるのですか?
Q. 宿泊行事があるときは、どうすればいいですか?
Q. きょうだいも夜尿症になりやすいですか?
Q. 治療中に気をつけることはありますか?
Q. 予約はどうすればいいですか?
質問を押すと、答えが開きます。
保護者の皆さまへ
おねしょは、お子さん自身がいちばん気にしていることも少なくありません。夜尿症は、成長の個人差から起こるもので、治療で治るまでの期間を短くできる病気です。
大切なのは、「一人で悩まない」ことです。宿泊行事やお友だちとのお泊まりなど、学校生活での心配ごとも含めて、どうぞ気軽にご相談ください。お子さんが自信を持って過ごせるよう、ご家族と一緒に取り組んでいきます。
ハリーこどもクリニック 院長 伊藤 正範
ご相談・ご予約
おねしょのご相談は、一般外来のご予約で受け付けています。フリーコメントに「夜尿症相談希望」とお書きください。
お電話:045-913-0501
参考:日本夜尿症学会「夜尿症診療ガイドライン2021」/おねしょ卒業!プロジェクト/帆足英一. 小児臨床 2012;65(4):931-939



















