
赤ちゃんを、はじめてのRSウイルスから守るために
RSウイルスは、ほとんどの子どもが2歳までに一度は感染するありふれたウイルスです。多くは鼻水や咳で済みますが、生後まもない赤ちゃんでは細気管支炎や肺炎を起こし、入院が必要になることがあります。とくに生まれてはじめての流行期は、まだ十分な免疫がありません。
そこで登場したのが エヌフロンシア®(一般名:クレスロビマブ) です。2026年6月に承認され、同年8月から使えるようになった新しいお薬で、体重にかかわらず1回打つだけで、はじめての流行期をカバーします。
当院でも接種を承っています。このページでは、どんなお薬なのか、ベイフォータスやシナジスと何が違うのかを、できるだけわかりやすくご説明します。
これは「ワクチン」ではありません
よく「RSウイルスのワクチン」と呼ばれますが、正確には違います。ここがいちばん大事なポイントです。
ワクチンの場合
弱めた病原体などを注射して、体に免疫をつくってもらう方法です。効果が出るまでに数週間かかり、赤ちゃんでは十分な免疫がつきにくいことがあります。
エヌフロンシアの場合
できあがった「抗体」そのものを注射します。自分で免疫をつくる必要がないので、打ったその時から効果が期待でき、赤ちゃんでもしっかり働きます。
1回で1シーズン
長く効くように設計された抗体のため、生後はじめての流行期は1回の注射でカバーします。毎月通う必要はありません。
体重を計らなくてよい
体重にかかわらず105mgの固定用量。small・largeの使い分けがなく、シンプルです。
健康な赤ちゃんも対象
早産や持病のあるお子さんだけでなく、すべての新生児・乳児が対象として承認されています。
対象となるお子さん
生後はじめてRSウイルスの流行期を迎える、0歳(1歳未満)のお子さんが対象です。
具体的には
● 生後12か月まで(1歳の誕生日を迎える前)のお子さん
● 流行期が始まる時点で まだRSウイルスの流行期を経験していない 赤ちゃん
● 流行期の途中で生まれた赤ちゃん(生後すぐの接種が可能です)
1歳を過ぎているお子さん、すでに一度RSウイルスの流行期を経験しているお子さんは、対象外となります。
早産のお子さんや心臓・肺に持病のあるお子さんはもちろん、持病のない健康な赤ちゃんも接種できます。
すでにシナジス(パリビズマブ)を受けている場合
そのシーズンの途中で、シナジスからエヌフロンシアに切り替えることは推奨されていません。シーズンを通してシナジスを継続してください。判断に迷う場合は、必ず主治医の先生にご相談ください。
シナジス・ベイフォータスとの違い
RSウイルスを予防する抗体のお薬は、現在3種類あります。それぞれ性格が異なります。
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| エヌフロンシア | ベイフォータス | シナジス | |
|---|---|---|---|
| 一般名 | クレスロビマブ | ニルセビマブ | パリビズマブ |
| 投与回数 | 1シーズンに1回 | 1シーズンに1回 | 流行期に毎月1回 |
| 用量 | 体重によらず105mg | 体重で50mg/100mgを使い分け | 体重に応じて計算 |
| 対象年齢 | 0歳(1歳未満) | 0歳(1歳未満) | 0〜2歳ごろ |
| 誰が受けられる | 持病のないお子さんを含む すべての赤ちゃん | 持病のないお子さんを含む すべての赤ちゃん | 早産・持病のある お子さんのみ |
| 何回目の流行期 | はじめての流行期のみ | はじめて+2回目 (持病のあるお子さん) | 毎シーズン |
| 費用 | 自費(保険適用外) | ハイリスク児は保険/それ以外は自費 | 対象に該当すれば保険 |
| 承認 | 2026年6月 | 2024年3月 | 2002年 |
※ 保険適用の可否はお子さんの状態(在胎週数・基礎疾患など)によって決まります。該当するかどうかは診察時に確認いたします。
では、どれを選べばよいのでしょうか
早産や心臓・肺の持病があり保険適用の条件を満たすお子さんは、シナジスまたはベイフォータスを保険診療で受けるのが基本です。
一方、持病のない健康な赤ちゃんの場合はいずれも自費となります。その中でエヌフロンシアは、体重に関係なく1回で完了する扱いやすさが特長です。どちらが適しているかは、生まれた時期や体重によっても変わりますので、診察時にご相談ください。
どのくらい効果があるの?
健康な正期産児・早産児を含む3,632人(うち日本人186人)を対象とした国際共同試験(CLEVER試験)の結果です。
受診が必要な下気道感染を 約60%減らす
医療機関の受診が必要になるRSウイルスによる下気道感染症の発症を、注射しなかった場合と比べて 60.4% 低下させました。
入院を 約84%減らす
RSウイルスによる入院を 84.2% 低下させました。重症化を防ぐ効果がとくに大きいことがわかります。
※ 「感染そのものを100%防ぐ薬」ではありません。かかったとしても重くなりにくくすることが、このお薬のいちばんの目的です。
いつ接種するのがよいですか
RSウイルスの流行はおおむね秋から冬にかけてですが、年によって前後します。当院では流行状況を見ながらご案内しています。

妊娠中にRSウイルスワクチンを接種された方へ
お母さんが妊娠中にRSウイルスワクチン(アブリスボ®)を接種されている場合、その抗体が赤ちゃんに移行しているため、お子さんへの抗体注射は原則として必要ありません。
ただし、接種の時期や出生時の在胎週数によっては、追加で投与を検討することがあります。妊娠中に接種された方は、必ず診察時にお知らせください。
費用について
エヌフロンシアは公的医療保険の対象外(薬価未収載)のため、自費診療となります。
66,000円 (税込・1回分)
お支払いは現金・クレジットカード・各種キャッシュレス決済がご利用いただけます。
乳児医療証は使用できません。あらかじめご了承ください。
お薬の取り寄せについて
高額なお薬のため、ご予約をいただいてから取り寄せています。接種をご希望の場合は、あらかじめご連絡ください。
やむを得ずキャンセルされる場合は、できるだけ早めにご連絡をお願いいたします。
接種までの流れ

ご相談・ご予約
受診時、またはお電話でご相談ください。お子さんの生まれた時期や体調をうかがい、接種の適否と時期をご案内します。
妊娠中にRSウイルスワクチンを接種された方は、この時点でお伝えください。
お薬の取り寄せ
ご予約をいただいてから発注します。入荷までに数日いただきますので、余裕をもってご相談ください。
ご来院・診察
当日は診察で体調を確認します。発熱など体調がすぐれない場合は、日を改めることがあります。
接種
太ももに1回筋肉注射します。接種後は院内で30分ほどお過ごしいただき、変わりがないことを確認してからお帰りいただきます。
副反応について
臨床試験で報告されている主な副反応は、注射した場所の反応が中心で、多くは数日でおさまります。
比較的みられるもの(1%以上6%未満)
- 注射した部位の腫れ
- 注射した部位の赤み
- 発疹
既存のシナジス(パリビズマブ)と比較した試験(SMART試験)でも、安全性はおおむね同程度でした。
接種後、すぐにご連絡ください
- 顔色が悪い、ぐったりしている
- 全身にじんましんが出た、まぶたや唇が腫れた
- 呼吸が苦しそう、ゼーゼーする
- けいれんを起こした
- 38.5℃以上の発熱が続く
ごくまれにアレルギー反応が起こることがあります。上記のような症状がみられた場合は、診療時間内であれば当院へ、夜間・休日は救急医療機関にご連絡ください。
よくあるご質問
ご予約・お問い合わせ
【参考】
- MSD株式会社「エヌフロンシア®筋注シリンジ105mg」製造販売承認取得のお知らせ(2026年6月19日)
- エヌフロンシア®筋注シリンジ105mg 添付文書・医薬品インタビューフォーム
- 日本小児科学会「日本におけるニルセビマブの使用に関するコンセンサスガイドライン」
本ページの内容は作成時点の情報にもとづいています。最新の情報は診察時にご確認ください。















