てんかんとは世界保健機関(WHO)では

てんかんは「脳の慢性疾患」で、脳の神経細胞(ニューロン)に突然発生する激しい電気的な興奮により繰り返す発作を特徴とし、それに様々な臨床症状や検査での異常が伴う病気と定義されています。

難しいので言い換えると

「何らかの原因で、脳に電気が漏れているところが作られ、その電気が脳の色々な場所に広がることで様々な症状を起こす病気」となります。

 

 

 

てんかん発作というと全身がガクガク震える、「けいれん」とイメージされる方が多いと思いますが、症状は電気が広がった場所によって様々で、動作が停止してボーっとする症状や吐気や不安を感じるといった発作もあります。

てんかんの頻度

てんかんは、一生のうちに約100人に1人が罹患する、頻度の多い疾患で、国内に約100万人いるとされています。

小児期と老年期での発症が多く、特に3歳以下での発症が最も多くなっています。

てんかんの診断

てんかんの診断は2014年に国際抗てんかん連盟(ILAE)が作成した定義


 

①24時間以上の間隔で2回以上の非誘発性(または反射性)発作が生じる

②1回の非発作性(または反射性)発作が生じ、その後10年間にわたる発作再発率が2回の非誘発性発作後の一般的な再発リスク(60%)と同程度である

③てんかん症候群と診断されている

 


と定義されています。

これも難しいので言い換えると

①「てんかん発作を繰り返しているよね、また繰り返しそうだよね」

②「1回しかてんかん発作が起こっていないけど、また繰り返しそうだよね」

③「昔からよく知られたタイプのてんかんで、また発作を繰り返しそうだよね」

となります。

つまるところ、てんかんの診断には「てんかん発作が繰り返しおこりそうかどうか」が最も大切になってきます。

てんかん専門医はこの「繰り返しおこりそうかどうか」を見極めるために

といった、診察や検査を行っていき、これらを総合的に判断して、てんかんの診断を行っていきます。

てんかんの治療

てんかんの治療が、発作を予防する抗てんかん薬というお薬を内服することが中心になります。

日本には多くの種類の抗てんかん薬がありますが、てんかんの種類や発作によって、効き方に差があります。

また、共通する代表的な副作用は眠気やふらつきですが、それ以外にも特徴的な副作用があったり、他のお薬との飲み合わせが悪かったりすることもあるため、その人に合った抗てんかん薬や使用量を選んでいきます。

適切な抗てんかん薬を選択することで、患者さんの約70%が内服で発作を抑えられると言われています。

2-3種類の内服治療で効果が得られない場合は、外科治療や特殊治療を行うこともあります。代表的な外科手術には、根治療法である「焦点切除術」や緩和治療である「脳梁離断術」があります。特殊治療にはウエスト症候群に対する「ACTH療法」や難治性てんかんに対する「ケトン食療法」などがありますが、いずれも侵襲性が高く、特別な管理が必要となるため、大学病院や専門病院で行われることがほとんどです。