お子さんのアトピー性皮膚炎治療に革新的な選択肢
デュピクセント®(デュピルマブ注射)について


デュピクセント®は、2018年に承認されたアトピー性皮膚炎治療薬です。IL-4受容体α鎖阻害薬という革新的なタイプの注射薬で、「2型炎症のサイトカイン」と呼ばれるIL-4とIL-13の働きを同時に阻害することで、炎症やかゆみを根本から改善します。
デュピクセントの特徴
💊 デュピクセントの主な特徴
IL-4受容体α鎖阻害薬
IL-4とIL-13の二重阻害により2型炎症を根本から抑制
IL-4とIL-13の二重阻害により2型炎症を根本から抑制
皮下注射
2週間または4週間に1回の投与(年齢・体重により調整)
2週間または4週間に1回の投与(年齢・体重により調整)
年齢別用量
生後6ヶ月以上から使用可能 / 体重に応じた細かな用量設定
生後6ヶ月以上から使用可能 / 体重に応じた細かな用量設定
継続治療
効果を維持するための定期投与 / 自己注射も可能
効果を維持するための定期投与 / 自己注射も可能
🏥 処方について
デュピクセントは医師の診察・処方が必要な処方薬です。お子さんの症状や年齢、体重に応じて適切に処方いたします。
デュピクセントの作用機序

🔬 2型炎症が起こるメカニズム
アトピー性皮膚炎の方の皮膚では、サイトカイン(IL-4、IL-13など)と呼ばれる物質が皮膚のバリア低下や炎症を引き起こします。そのためアトピー性皮膚炎になると皮膚に赤みやブツブツが出たり、強いかゆみが発症します。
💡 IL-4とIL-13の役割
この炎症の原因となるのがTh2細胞から産生されるIL-4とIL-13で、これらが皮膚のバリア機能低下、IgE産生亢進、好酸球遊走などを引き起こし、アトピー性皮膚炎の症状を悪化させます。
🎯 デュピクセントの働き
デュピクセントはIL-4受容体α鎖と結合することにより、IL-4とIL-13の両方のシグナル伝達を同時に阻害し、2型炎症を根本から抑制するため炎症とかゆみが改善されます。
適応症状と治療効果
適応症状
- 中等症から重症のアトピー性皮膚炎
- 既存治療で効果不十分な場合
- 慢性的な皮膚炎症とかゆみ
- 広範囲の皮疹
投与方法
- 2週間または4週間に1回の皮下注射
- 医療機関での投与または自己注射
- 年齢・体重に応じた用量調整
- 継続的な効果モニタリング
メリット
- 2型炎症を根本から抑制する革新的治療
- 定期投与で症状を長期コントロール
- IL-4とIL-13を同時にブロック
- QOL(生活の質)の大幅な改善
注意点
- 生後6ヶ月以上が適応
- 定期的な検査と経過観察が必要
- 結膜炎などの副作用管理
- 医師との密な連携が重要
年齢・体重別適応と投与量・スケジュール

📋 投与スケジュール詳細
🍼 生後6ヶ月-5歳(体重5-15kg未満)
200mg を4週間に1回皮下注射
初回負荷投与なし
初回負荷投与なし
🧒 生後6ヶ月-5歳(体重15-30kg未満)
300mg を4週間に1回皮下注射
初回負荷投与なし
初回負荷投与なし
👦 6-17歳(体重15-30kg未満)
初回:600mg → 維持:300mg を4週間に1回
初回負荷投与あり
初回負荷投与あり
👧 6-17歳(体重30-60kg未満)
初回:400mg → 維持:200mg を2週間に1回
より頻回投与で効果を維持
より頻回投与で効果を維持
🧑 6-17歳(体重60kg以上)
初回:600mg → 維持:300mg を2週間に1回
成人と同様の投与スケジュール
成人と同様の投与スケジュール
※年齢・体重により投与方法が異なります。
従来治療薬との比較
ステロイド外用薬
抗炎症効果が高く、アトピー性皮膚炎の標準治療
軽症から中等症の第一選択、局所治療、併用により相乗効果
抗炎症効果が高く、アトピー性皮膚炎の標準治療
軽症から中等症の第一選択、局所治療、併用により相乗効果
タクロリムス軟膏(プロトピック®)
カルシニューリン阻害薬、顔面にも使用可能
顔面・頸部の維持療法、中等症治療、デュピクセントとの併用可能
カルシニューリン阻害薬、顔面にも使用可能
顔面・頸部の維持療法、中等症治療、デュピクセントとの併用可能
ミチーガ®(ネモリズマブ注射)
IL-31受容体拮抗薬、かゆみに特化した治療
超速効性の痒み軽減効果、4週間に1回投与、軽症例から適応
IL-31受容体拮抗薬、かゆみに特化した治療
超速効性の痒み軽減効果、4週間に1回投与、軽症例から適応
デュピクセント®(デュピルマブ注射)
IL-4受容体α鎖阻害薬、2型炎症を根本から抑制
中等症から重症、生後6ヶ月から適応、炎症とかゆみの両方を改善
IL-4受容体α鎖阻害薬、2型炎症を根本から抑制
中等症から重症、生後6ヶ月から適応、炎症とかゆみの両方を改善
注意事項
投与前の確認事項
- 年齢が生後6ヶ月以上であること
- 既存治療で効果が不十分であること
- 感染症がないことの確認
- 他の薬剤との相互作用の確認
- ワクチン接種状況の確認
投与後の注意点
- 注射部位の観察(赤み、腫れ、痛みの確認)
- 結膜炎などの副作用症状に注意
- 定期的な血液検査の実施
- 効果と副作用のモニタリング
デュピクセントに関するご相談
デュピクセントの適応などのご相談は一般外来でも承っております。
もしアレルギー専門外来の予約がご希望より先になる場合は、まずは一般外来でご相談下さい。
適切な診察の上で、お子さんに最適な治療法をご提案いたします