自閉スペクトラム症とは

自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder: ASDは、神経発達の異常によって引き起こされる疾患で生まれつきの遺伝子の変異や環境の影響など複数の要因によって発症すると考えられています。頻度は高く、2020年の弘前大学の調査では約3%となっています。

ASDのお子さんには、

と言った特徴がありますが、症状の種類や程度は実に人によって様々です。

そのため、症状が比較的軽い例では、特に3歳時検診などで指摘を受けた段階の年齢では、はっきりとした診断がつかず、経過を診ていく必要がある例も多くあります。

自閉スペクトラム症の診断

自閉スペクトラム症の診断基準はDSM-5の基準によると

①複数の状況で社会的コミュニケーションおよび対人的相互反応における持続的欠陥があること

②行動、興味、または活動の限定された反復的な様式が2つ以上あること

(情動的、反復的な身体の運動や会話、固執やこだわり、極めて限定され執着する興味、感覚刺激に対する過敏さまたは鈍感さ など)

③発達早期から1,2の症状が存在していること

④発達に応じた対人関係や学業的・職業的な機能が障害されていること

⑤これらの障害が、知的能力障害(知的障害)や全般性発達遅延ではうまく説明されないこと

となっています。

上記の通り発達障害の診断で最も大切なことは「症状診断」であることです。

つまり、肝臓の数値が悪いや、腎臓の数値が悪いなど、数値や検査所見のみで診断できるものではないということです。

ただ、そうは言っても、発達検査はとても参考になります。例えば、発達障害のお子さんでは、得意な能力と不得意な能力の差が激しいことがわかっており、IQ検査でこれを確かめることが重要です。また、M-CHAT®やPARS-TR®など学術的に有用とされている検査も多くあります。

当院では、より正確な診断やアドバイスができるように積極的に発達検査を行うようにしています。

発達障害の治療

発達障害の治療で最も大切なのは、本人や周囲が特性を理解し社会生活への支障を減らしていく環境調整です。

また、未就学児では日常生活動作や(着替えや片付けなど)、集団行動、言葉の練習をする「療育」も非常に大切です。

療育を受けるためには行政が発行する、受給者証が必要で、受給者証の取得には医師の診断書が必要になります。当院でも診断書を発行いたしますので、お気軽にお問い合わせください。

さらに、強い興奮や癇癪、睡眠障害といった症状がある場合には、お薬による治療を行うこともあります。